第71回卒業証書授与式が行われました

2019年03月05日
3月2日(土)本校体育館にて総合学科13期生129名の卒業証書授与式が行われました。【平成30年度卒業式式辞】
早々と今年の春は立ちにけり。例年にない暖冬で、蒼雲館の紅梅も満開に咲き誇り、早い春の訪れを感じさせてくれています。本日ここに、雲南市教育委員会教育部次長 須山貴吉様、PTA会長 難波一志様、島根県議会議員 山根成二様をはじめ、多数のご来賓の皆様方にご臨席を賜り、島根県立三刀屋高等学校第71回卒業証書授与式を、かくも盛大に挙行できますことを、高いところからではございますが、深く感謝申し上げます

また、本日ご列席いただきました保護者の皆様には、心からお祝い申し上げます。
お子様の成長された姿を改めてご覧になり、入学以来の様々な出来事に思いを巡らし、感慨いかばかりかと拝察いたします。保護者の皆様のこれまでのご労苦に対しまして、敬意を表しますとともに、本校教育へのご支援、ご協力に心から御礼申し上げます。

さて、ただ今、卒業証書を授与いたしました 129名の卒業生のみなさん、卒業おめでとうございます。本年度の3年生は、実にチャレンジ精神旺盛で、現状に甘んじることなく、何かを変えてやろう、大きく改革してやろうという意気込みを感じさせる学年でした。
「Rebolution」(革命)。これは、本年度の三高祭のテーマでした。「Reborn」(新しく生まれ変わった)三高を「evolution」(進化)させたい。それも単なる変化「change」ではなく、「Rebolution」革命的に変革をしてやろうという皆さんの熱い思いがこのテーマには込められていました。
生徒会長の毛利さんと対談した「むつこの部屋」、元三高卓球部部長として臨んだ炎の体育会TVin三刀屋は私自身にとっても忘れられない思い出となりました。

さて、現代社会に目を向けますと、日本そして世界を取り巻く環境は大きな変革期にあるといえます。経済発展が進む中、人々の生活は便利で豊かになり、エネルギーや食料の需要が増加し、寿命の延伸が達成される一方、高齢化などに伴う社会コストの抑制、食料ロスの削減、地域間格差の是正という社会的な課題も多く生じています。
また一方では、IOT、ロボット、人工知能、ビッグデータといった社会の在り方に影響を及ぼす新たな技術も革新的に進んできています。このように変化の激しい現代社会にあって、次の時代を担う君たちに求められるものも大きく変わりつつあります。直面する課題を解決していくための課題解決能力、そして新たな価値を生み出していく創造力、未知なるものに果敢に挑んでいくチャレンジ精神は間違いなく新しい時代に求められるものであろうと思います。

今ここにいる卒業生のみなさんは、3年間本校での充実したキャリア教育を受け、様々な体験や地域の皆様との交流を通して雲南の、島根の、そして日本の課題を見つめ、その解決法を考えてきました。そして、そのことにより、確かな学力と課題解決能力と地域のために貢献しようとする貢献意欲を身に付けました。また、日頃の授業をベースに、生徒会活動、部活動、学校行事を通して様々なことにチャレンジしてきました。まさしく、常識を学び、汗をかき、ときに常識を疑い、果敢にチャレンジしてきました。しかし、うまくいかなかったこともたくさんあったでしょう。思うようにならず苦しんだこともあったでしょう。

直木賞作品である恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」には、次のような一節があります。「何かが上達する時というのは階段状だ。ゆるやかな坂を上がるように上達する、というのはあり得ない。ピアノを弾けども弾けども足踏みばかりで、ちっとも前に進まないときがある。これがもう限界なのかと絶望する時間がいつ果てるともなく続く。しかし、ある日突然、次の段階に上がる瞬間がやってくる。なぜか突然、今まで弾けなかったものが弾けることに気付く。それは、喩えようのない感激と驚きだ。」これは、誰しも苦しいときがある。しかし、決してあきらめてはならない。希望を捨てず、耐えて努力を続ければ必ず道が開ける。と我々に教えてくれています。課題解決能力、創造力、チャレンジ精神、どれも重要な力ではありますが、「あきらめない」ということは何よりも大切なことだろうと思います。

一人では、耐えられないことも、家族、友人、地域の人たちの力を借りることによって乗り越えていけるものもたくさんあります。事実、みなさんが、今こうしてここにいられるのは、多くの人が支えてくれたおかげです。学習活動に、部活動に物心両面にわたって支援をしてくださったPTA、並びに雲南会の皆様、キャリア教育の多くの活動に快く協力していただいた関係機関や地域の皆様、3年間ともに汗を流した仲間たち、全力で指導してくれた三刀屋高校の教職員、そして苦しい時も楽しい時もいつもそばにいて支えてくださった保護者の皆様がいたことを忘れてはいけません。そして、これからもみなさんは多くの人に支えられて生きていきます。感謝の気持ちはもちろん、三刀屋高校で頑張ってきたという自信と誇りと情熱を持って新たな世界に向かってほしいと願っています。正しき道に希望あり、われらの三高ここにありと、ひとしくともに誇るべし。

みなさん一人一人が、我がふるさと雲南の、島根の、そして日本の輝ける星となることを心から祈念し、式辞といたします。

平成31年3月2日
島根県立三刀屋高等学校長 佐藤睦也