7月27日(金)終業式が行われました。校長訓話「AIはいかにして進化したのか?」「Reborn(生まれ変わる)からEvolution(進化)へ」4月の始業式で皆さんに本年度のテーマは進化(Evolution)であるという話をしました。「進化」という視点で1学期を振り返ってみますと、まずは日常生活におけるあいさつ、掃除、整理整頓など凡事を徹底しようとする姿には大いに進化を感じています。また、部活動においても県総体で5つの部がベスト8以上に入賞したり、文化部においても文芸部の俳句甲子園出場、美術部と書道部の全国高総文祭参加など大いなる進化があったと思います。そして日々の学習、授業に対する取り組み意欲、課題研究である「未来創造探究」への取組においても目を見張るものがありました。また、生徒会活動においてもあいさつ運動や募金活動、掃除の徹底運動が展開され始め、皆さんの主体的で協働的な行動が少しずつ出始めています。野球部の応援でもグラウンドとスタンドの一体感を感じ取ることができました。みんなが一人のために、一人がみんなのために、全力でプレーし、全力で応援する姿に、三高魂の進化を感じることができました。
しかし、私が皆さんに期待する「進化」はこの程度ではありません。現状に満足することなく常に目標(ゴール)の5メートル先を見据えながら努力していくことが肝心です。今日は、皆さんに「AIはいかにして進化したのか」という話をしたいと思います。
皆さんも知っているようにコンピュータができることは、たった二つ「計算すること」と「記憶すること」だけです。ただし、その計算の速さと記憶の量は膨大で、とても人間がかなうレベルではありません。しかし、従来のコンピュータのレベルでは、将棋や囲碁でコンピュータが人間に勝つことは到底できないと考えられていました。なぜなら従来のコンピュータでは、すべての選択肢を人間がプログラムしていたからです。すべてが想定内ということです。ところが「ディープラーニング」という技術がAIを大きく進化させることになりました。ディープラーニングと思考の多層化、つまり課題に対する解決策を何重にもコンピュータ自身が行うことにより、より良い解決策を導き出す技術です。ここで大切なのは、ところどころに答えのない部分が意図的に作ってあるということです。AIは膨大なデータの中から最適な答えを「考える」という作業をすることになります。
このことは、まさしく今三刀屋高校でやろうとしていることと同じです。日々の授業でも「考える」ということを重視しています。また、探究活動(課題研究)でも答えのない課題に向かって皆さんなりの答えを出そうと努力しています。こうした日々の取り組みの中で三高生も進化をしていくのだろうと考えています。もちろん、AIが処理できる膨大な情報量には及びませんが、「進化」のためには、まずは常識(基礎基本)というデータをしっかりインプットすることが大切です。夏休みは、インプットするにはまたとない機会です。この機を逃さず教科書レベルの基礎基本という常識をまずは目いっぱいインプットしてみてください。少ないデータではそこから引き出せるアイディアも貧弱なものでしかありません。多くのデータがあればこそ、正しい答えが、また創造性に富んだ素晴らしいアイディアが出てくるというものです。Iceberg Theory 氷山は全体部分の約90%が海面下にあるといわれています。目に見える海面上にどれだけ出てくるかは、海面下にどれだけのストックがあるかにかかっているということです。しっかりストックしましょう。有意義な夏休みになることを期待しています。